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高齢者のトータルケアinあべの

演題①:認知症の人とともに生きる〜BPSDをださないための非薬物療法〜
演者:和クリニック 院長 徳山 まどか 先生
演題②:認知症と心房細動 〜健康寿命を伸ばすために〜
演者:大阪市立大学大学院医学研究科 神経内科学 准教授 安部 貴人 先生

 
演題①
 認知症の症状は、中核症状と認知症の行動・心理症状(BPSD)に大別される。BPSD治療は、患者さんそしてその介護者のQOLを改善するために非常に大切であり、非薬物的なアプローチが有効である。『ABC認知症スケール』は、A:ADL 日常生活動作、B:BPSD 行動心理症状、C:Cognitive function 認知機能について平均10分間で総合評価ができる認知症の新しい評価スケールで、患者さん本人でなく介護者に対して13項目の質問を回答してもらうものとのこと。従来、認知症のスクリーニング検査である長谷川式認知症スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)とも相関関係があり、日常診療に役立つ。
 また、介護者には「せん妄」についてもあらかじめ説明しておくとで、将来起こるかもしれない様様な出来事にスムーズに対処できることが多い。医師も感染症などの急性疾患でせん妄が誘発されることをまず念頭におき、診察、検査をすすめることが重要。 当院では、DASC-21(Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items: 地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)を介護者からの患者情報を得るための手段として採用していましたが、ABC認知症スケールについても勉強させてもらいたいと思います。せん妄に関しては、急激な認知機能の変化があった時に、感染症など身体に何らかのストレスがかかる状況がないかを検索することで原因を突き止めることができた事例を多々経験します。うまくご自身の状態を説明できない方にとって、せん妄はある種のSOSサインなのだと感じます。せん妄を起こすとご家族がびっくりしてしまい、その後の介護に消極的になってしまうことがないようにあらかじめ説明をしておくのは、本当に大事なことだと思います。
BPSDに対する対応も人それぞれではありますが、非薬物的なアプローチが有効であることはご家族や介護者のお話を伺っていても納得できます。医療・介護従事者だけでなく一般の方も今後はこういった知識や対応法を身に付けていかなければいけないのかもしれません。
演題②
認知症と心房細動についての最新の話題。